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№2246 対話が生み出す組織のミッション

№2246 対話が生み出す組織のミッション

西精密工業
 徳島市でナットを中心としたファインパーツの製造・販売を行う西精密工業のお話を聞く機会があった。西精密工業は大正12年創業という老舗で,西社長は後継予定であった従兄弟が急逝し、急遽、後継者として戻ってきてほしいと、1998年に呼び戻された西氏が社長に就任した。

1年にもわたる社員との対話
 西社長は会社に確固たる経営理念が必要と感じ,1年かけて経営理念を作成し,その後,社員と徹底した対話を通じて理念を浸透させていった。A4用紙1-2枚になるメッセージを、毎日、全社員に送り、それに対する社員の意見を寄せてもらった。数年間続いた対話の内容は、「西精工フィロソフィー」としてまとめた。こうした取り組みは社員の心をわしづかみにし、考え方と行動はいっぺんしたそうだ。

ベクトルを合わせる
 京セラには京セラフィロソフィーというのがあって,会社経営のためにとても大切な言葉が記されている。創業者稲盛会長は社員と徹底した交流を通じてこの京セラフィロソフィーの浸透をはかってきた。社員の一人一人にも人生があり,社員と社長との一体感が会社に大きな力を生むという信念がある。「ベクトルをあわせる」作業がリーダーには求められる。

社員の人生を知る
 ベクトルを合わせる上で社員がお互いの人生を知る作業はとても大切だ。西社長は社員たちはお互いの生活を知ろうとしているし,仲間として助け合おうという気風が育っているという。

社員が会社に自分の居場所を見つける
 ある社員はかつては居酒屋に出入りし,会社の愚痴をいうことが多かったが,社員の生活を知り,対話することで会社を好きになってもらうようになった。この社員は会社の中に自分の居場所を見つけたそうだ。「会社の中に自分の居場所を見つける」,なんとよい言葉ではないか。

組織は生まれながらに使命を持っている
 組織は何のために組織が社会に存在しているか生まれながらにしてミッションを備えているというのが最近の私の信念だ。人は遺伝的な精神の構造に様々な人生の体験が加わり徐々に自分が何のためにこの世に生まれてきたか知る。同じように組織も誕生して,経営を持続し,様々な体験を経て,組織が何のために生まれてきたか知る。組織が人によって構成されている以上,この理は自明なことだ。

戦略は集団的英知によって生まれる
 組織は戦略に従う。確かにそうかもしれない。しかし,戦略は構成員による集団的英知によって生まれるものだ。社長,幹部,社員,それぞれの持ち場があるが,それぞれが相互の対話を通じて有機的な連係を図れば,自ずと自らの役割を自覚し,組織的英知によって自ずと組織のミッション,戦略が生み出されていく。そして,組織が成長する。

集団的英知が生まれるよう働きかける
 社長の役割はこの組織の声を聞き,集団的英によって日々生み出されている組織のミッションを探求し,有機的な対話によって組織のベクトルが合わさっていくよう働きかけることにある。 

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