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№1514 社内のいじめの芽をつむ

№1514 社内のいじめの芽をつむ

 いじめは高じれば会社の安全配慮義務違反となり賠償問題が発生する。そうでなくてもいじめのない会社が望ましいことは言うまでも無い。いじめは社内の雰囲気を悪くするし,会社全体の士気を落としていく。会社は楽しいところであってこそやりがいも湧いてくる。

 プライベートでは関係なくとも「仕事」でつながるというのは人にとってはある意味安心を与える。それは自分が社会とつながっているという実感の一つでもある。この人とのつながりは社員の生きがいの一つだ。社員が職場に期待しているものを実現するのも社長の役目だ。

 会社全体の管理が暴力的であったり,陰湿であったりするといじめが発生する。本当に暴力を利用することもある。そうでなくとも,パワハラと言って,長時間にわたって怒鳴る,なじるというようなこともある。あるいは,くどくどと理詰めで追い詰めていくこともある。これも会社の暴力的体質からくるものだ。

 社内での競争的雰囲気が時にイジメを生むことがある。プロフェッションを追求するあまり,他人にも厳しくなる場合だ。これは正しい面もある。社内での人の評価は仕事に対して責任を持つか,自分の責任を全うしているかによって決められる。いやな上司でも仕事ができ,公正であればやはり尊敬される。

 しかし,仕事ができない社員に対する低い評価やいらだちがいじめの原因になることもある。こうした社員がときに「ダメ社員」のレッテルを貼られ,同じミスでも他の人の3倍しかられてしまうというようなこともある。

 このレッテルが難しい。ミスに対して事実を指摘し正しく指導することは絶対に必要なことだ。繰り返されればだんだん指摘が厳しくなるのは当然のことだ。時には解雇をも背景に指導しなければならない。

 しかし,「ダメ社員」のラベルが社内で貼られてしまうと社員全体がその社員にきびしくなってしまう。「普段はいい人なのに,この人に対する時だけは人が変わったようになる。」,こうしたことは社内全体の雰囲気を悪くする。このラベリングを回避しつつ,社内の融和を維持しつつ,ミスの多い社員のミスを無くするということが経営者や管理者の手腕を発揮しどころだ。