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№1062 「うつ病」がもたらす不幸

№1062 「うつ病」がもたらす不幸
 うつ病はわかりにくい病気だ。職場環境や私生活,その両方が影響して起こる。中小企業では社長は「おやじ」であったり,「お母さん」であったりする。「おやじ」や「お母さん」は時には私生活にも踏み込んで社員の悩みによりそう。それが中小企業のよさでもある。しかし,会社ではどうにもならない領域がある。このどうにもならない領域をきちんと整理することが必要だろうし,専門家の手助けは不可欠だ。

■ 従業員にもたらす不幸
 本人はつらい。時には自殺に至る。私生活や本人の資質が原因であれば,本人の職場への不適応ということになる。セクハラやモラハラ,職場でのいじめ,過剰な残業,能力を超えた配置などといった職場が原因であることもある。社員の幸福を第一に考える職場であれば,このような状態は放置できない。誰もが幸福になるために職場に来る。にもかかわらず職場がつらいのは不幸なことだ。もちろん,退職することが本人のためという場合もある。

■ 職場にもたらす不幸
 いつも沈んでいる様子があったり,非常に反応が鈍かったり,時にはいつも居眠りをしてしまうようなことがあれば職場の雰囲気は悪くなるに決まっている。こんなつらい状態に人を追い込んでいる職場はいやな職場だと思うかもしれない。一生懸命働いている人が損をしていると思っているかもしれない。

■ 会社にもたらす不幸
 それまで大切に育ててきた人材がうつ病のために失わなければならないかもしれない。一人の能率の低下が会社全体の生産性を低下させるかもしれない。職場の配慮が足り無くて自殺したともなれば会社は賠償責任を負う。数千万円,時には1億円を超える賠償責任が生じる場合もある。労働組合は会社の責任を追及するかもしれない。人件費に余裕のない中小企業では十分の働きの無い者に給料を払い続けることはできない。

■ 上司にもたらす不幸
 うつ病が上司が原因だなどと言われて上司が追い詰められることがある。社長は「おまえの管理が悪い」などと管理職に責任を丸投げするかもしれない。うつ病という医学的なテーマを大きな壁に感じてしまうかもしれない。職場の幹部は自信を失い,さらに職場の雰囲気を悪化させるかもしれない。
 
 会社にもたらす不幸はいくつかに分析できる。これらの問題については既に多くの解決の道筋が存在している。中小企業家同友会経営相談室うつ病研究会では中小企業のうつ病対応の具体的方策を逐次検討している。