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№1193 うつ病従業員の対策

№1193 うつ病従業員の対策
 うつ病はとらえどころのない病気で、中小企業としては対処の難しいところがある。社員がうつ病だということで休んだり、職場の配置がえを求めてきた場合にどのように対処するかについてはどうしても専門家のアドバイスが必要のように思われる。顧問の社労士、弁護士などとも協議しつつ、対応策を検討することが必要だ。

 社員がうつ病の診断書を提出してきた場合にどのように対応するかについては次の視点が有益ではないかと思う。

① 業務起因性
  社員からはいったいどうしてうつ病になってしまったのか、その事情を尋ねていくことになる。上司や同僚とのいさかい、過酷なノルマ、連日の残業など業務に起因するのであるか、別の疾患、家庭内での不和、不幸などプライベートな問題が原因しているのか情報を収集していく必要がある。場合によっては診断書を作成した医師に聞き取りに行く必要もある。プライバシーに踏み込むので躊躇があるかもしれないが、使用者にはメンタルヘルスに関する安全配慮義務がある。また、実態にきちんと労働を提供してもらわなければならないので、働けるかどうかの判断にもこうした情報の収集は必要になる。

② 適切な労働の提供
  雇用関係にとって重要なのはうつ病かどうかという点にはない。うつ病の結果、働けなくなることが問題になる。たとえば、うつ病になっても働くことができるのであれば、別に問題は無い。あるいは、日常生活ができる程度に回復したと診断書があっても、職場での労働はできないということであれば業務の視点からすれば回復したとはいいがたい。

③ 主体性の発揮
  どんな病気でも本人が治りたいと思って努力しなければ治るもものではない。うつ病は意欲そのものに障害をきたす病気だから難しい面もあるが、本人が主体的に治癒にむけて努力することが求められている点には変わりない。日常生活をきちんとし、病院に通院し、医師の指示に従って薬を飲む。職場でもきちんと現状を報告し、職場での理解に務めるなどある種の主体性は求められる。