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№1196 うつ病の兆候

№1196 うつ病の兆候
 うつ病の話しが続きますが・・・・・・・・

 うつ病に対する配慮は企業防衛から言っても見逃せない。有名なブルドックソース事件はうつ病から自殺に至った事例であるが、広島地裁は1億1111万円の支払を会社に命じた(H12.5.18判タ1035.285)。中小企業だったらひとたまりもない。

 うつ病から自殺に至った事例を分析すると、長期労働事例、過酷なノルマを強いられた事例、人の管理に悩む事例、セクハラ・パワハラと言った上司などからいじめといった事例が多い。被害者は責任感が強い者が多く、過酷な状況に対して前向きにがんばろうとして折れてしまうというような感じなのだろう。

 いくつかの判例を読むと、こういう深刻な事態になる前にいくつかの兆候が存在する。
① 「会社を辞めたい」
② 「疲れた。会社を辞めるかもしれない。」
③ 「ノイローゼかも知れない」
④ 「仕事に向いてないかも知れない」

  何年か勤務し、がんばっている人と評価されるような人が、「疲れた」とか「仕事に向いていない」、「辞めたい」といい始めるのは普通は異常なことだ。こうした場合、たいていは傍から見ても異常な労働状態が存在する。誰がみてもこの人の職場はおかしいという状況は存在するのが普通のように思う。

 たとえば、週100時間を超えるような労働状態が続く、土日にも出勤して働き続ける、責任ある立場、例えば班長だとかリーダー長だとかになって責任で押しつぶされそうになる、誰がみても困った部下が存在する、日常的に手厳しく部下を攻撃する上司がいる、これらの外部的な状況が加わっていれば、会社は何か手を打つ必要がある。

 過労自殺やセクハラ・パワハラ自殺で賠償責任が認められるような事例は実際にはかなりひどい例だ。会社の感性が余りにも鈍く、さすがの裁判所も責任を認める事例が多い。中小企業としては日頃から社員の動きに敏感になって労働条件について守るべき事は守るという姿勢が大切だろう。