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№293 不況下の信用保証協会の任務について

№293 不況下の信用保証協会の任務について
 信用保証協会は「中小企業者等に対する金融の円滑化を図ることを目的」としている。金融は長期、短期あるが問題になるのは短期借り入れの部類だろう。

 一時的な資金ショートに対して融資で乗り切ることが妥当かどうかひとまず置くとして、借り入れが乗り切らなければ会社がつぶれるというときには借り入れは是非もない話だ。そのときに信用保証協会はどんな役割を果たすのだろう。

 問題の所在は、今回の不況による資金ショートが一時的であるかどうかということになる。一時的であれば、信用保証協会がこれまでやってきた業務の通り、保証すればすむ。銀行は貸してくれるだろう。

 結局、これは最近の不況をどのように理解するかにかかっている。不況が慢性化し、減産率が50%とか70%とかいった悲惨な状態は普通は一時的なものだった。しかし、ここのところの状況からすれば回復には時間がかかりそうだ。戻っても稼働率が80%になればいいところだろうと言われている様子を見れば、企業は根本的な事業変革が求められる。

 それは短期借り入れで当面を乗り切るという問題ではない。事業規模の縮小を実施し、時には債務を大幅にカットするという荒療治も必要な根本改革だ。我々の社会ではこれを事業再生と呼んでいる。事業再生とまで極端な事例でなくともそれに近い。長引く不況下では構造改革をできた者が勝ち組だ。やがて不況を脱したときには大きな利益をもたらすだろう。

 このような状況認識の下での信用保証協会の役割が試されていると言わなければならない。融資条件を当面緩和しても、それは負債の増大を招いて、真綿で首を絞めるように企業を圧迫していくだろう。企業構造の改革のための資金を協会は保証してくれるだろうか。つもりにつもった債務を協会は放棄してくれるだろうか。せめて、金利ぐらいは放棄してくれるだろうか。