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№311 信用保証協会と直接交渉する。

№311 信用保証協会と直接交渉する。
 愛知県の中小企業家同友会には「経営相談室」というのがあって、会員企業の専門的な相談を受け付けている。弁護士、税理士、社会保険労務士、コンサルなど専門家によって構成されている。この経営相談室の一環として、信用保証協会のあり方について勉強中だ。

 先日は愛知県信用保証協会に行って、職員らを懇談してきた。信用保証協会というのは債務の連帯保証機関なので、どうしても銀行の背後に存在する。中小企業の中には、信用保証協会と直接話すことはできないと思っているひともいるくらいだ。

 不況下、関心は協会の保証を得た融資の処遇だ。

 長期借入など支払いに行きづまった場合には、支払いの猶予や、支払い条件の変更が問題なる。多くの経営者は銀行と直接交渉し、何とか待ってもらうということを行う。銀行としては保証協会次第ということになろう。銀行は保証協会と協議してきますということが多い。あたかも銀行が事業者の代理人のように振る舞うのだ。

 しかし、銀行は自分の利益の確保がある。担当者にもよると思うが、どこまで事業者のために動くか分からない。いつも銀行を通じて保証協会と交渉するようなものだから、事業者としては奥歯にものの挟まった感じを免れないだろう。だったら、実際の交渉相手は保証協会の方が端的でよいということになる。

 懇談ではこの点、いつでも来てほしい、銀行には内緒にできますということだった。もちろん、金融機関との交渉は「誠意」「誠実」が第一だ。つまらない操作のために一時の利益は得ても、長い目で見れば企業の信用を失うし、「確実な経営」という精神を失う。この点では金融機関に透明性を示すことが必要のように思われる。

 しかし、小企業の場合、実はこの「透明性」を示しつつ交渉することが必ずしもできない。決算報告書などを提示することになるが、そのほかにも資金計画表や、事業計画書などを作成することになる。これは、経営者自らが説明できなくてはならない。小企業の場合、規模が小さいし、会計もそれほど複雑ではないので、十分できる。さらに、この交渉に際して、「透明性」を勇気をもって示すところが、交渉の重要な点だろう。