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№797 代位弁済、資金ショート、保証協会

№797 代位弁済、資金ショート、保証協会
 市や県の保証協会を利用することは中小企業の間では当たり前の話になっている。むしろ、プロパー融資を受けることの方がめずらしい。

 借りたお金は返す。これは当たり前のことで、企業の信用の最低限の条件であることは言うまでもない。しかし、昨今のようにリーマンショック後の不況が定着したり、公共事業が減ってしまったりすると、事業の売上は中々回復せず、借金も返せなくなることがある。

 社長や経理担当のお母さんからすると、夜も寝られないことがあるだろう。3ヶ月後はもうダメだ、なんてこともあるかもしれない。借金の返済さえなければ事業自体はそれなりに利益をあげているのに、と無念な気持ちもあるだろう。

 実は、こういうタイプの相談はここ最近増えている。以前はどうにもならなくて倒産するしかないとう事例が多かったが、リーマンショックをとにもかくにも乗り切っている企業は、業績はけっして悪くない。ただ、超低空飛行なだけだ。

 資金ショートだという時、我々の所に相談に来た依頼者には、まず、「借金の返済がなければ事業は維持できるのでしょうか。」と尋ねる。その上で、そこそこ利益があるならば、思い切って第三者弁済に陥る決意を促すことがある。

 つまり、資金ショート→倒産、破産、と考えるのではなく、資金ショート→保証協会による第三者弁済、それから次を考えるのである。採算者弁済というのは、連帯保証人である保証協会が銀行に借金を支払うことだ。かわりに、保証協会は貸金債権を受け取る。今度は保証協会が債権者となる。

 保証協会は本来、企業を生かす立場にあるから、実際に取り立てはそれほど厳しくない。むしろ、返済に誠意を示すことで切り抜けられることが多い。それは、①企業の状況を資料を提出して正確に説明する。②月5万円でも10万円でもわずかでも返済を続ける。こうしたことが必要だ。

 こうして、とりあえず、借金の返済額を大幅に減額した上で、事業を立て直し、その後に保証協会と協議して、条件を元に戻し元通り返済を続ければ、事業は立ち直る。