名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№121 自由競争とは何か。

中小企業法務 №121 自由競争とは何か。
 
 独占禁止法は競争が自由,活発で,公正であることを通じて,消費者利益を確保することを目的としている。講学的には民主的な経済社会を実現するものと理解されている。

 談合によって新規事業者の参入を防いだり,価格を不当につり上げたりすれば,自由な競争が害されたと言える。大企業が強い影響力をもって,下請けに無理難題を押しつければ,それは企業の自由な競争が害されていると言える。それは本来の商品価格以下で商品を売却することを強いるからだ。

 少なくない企業が,もっと商品やサービスで勝負させてほしいと思っていることだろう。もっと売り込むチャンスを与えてほしいと思っていることだろう。このように社会が自由であれば,事業者はもっと創造的になり,社会全体が創造性を発揮する。雇用も確保され,人々は豊かになるだろう。

 独占禁止法はこのように競争そのものを保護することを目的としている。最後には消費者につけが回ってくるのだから,消費者利益を保護するものということになる。問題はそれらに加えて,中小企業の事業そのものを保護することを目的としているかどうかだ。中小企業も独立した経済単位である以上,本来特別な保護は必要ない。

 しかし,中小企業は一方で不利益を受けやすい存在だ。実際には自由競争の枠外に置かれて,不当な地位に甘んぜざる得ない存在だ。これを競争上弱いからから仕方がないと見るか,不当に競争の枠外に置かれていると見るかが,中小企業法務の分かれ道だ。弱者が自由であるためには,それを保障するためには特別なルールが必要だというのが私の立場であり,そのことが内需を拡大し,社会の活性化を招き,消費者の多様性を保障するというのが私の立場である。