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№42 赤福事件の教訓 その4(家族的経営)

 赤福事件は中小企業家にとって教訓の宝庫だ。中小企業家同友会としても赤福事件の教訓を引き出す作業を始めるべきだ。
 平成20 年1 月31 日,株式会社赤福 コンプライアンス諮問委員会は報告書を会社に提示した。これは赤福のウェブからも手に入る。中小企業の特徴として所有と経営の分化が進んでいない点にある。これは社長の強い意志が会社を引っ張っていくし,現場情報がすぐに経営者に伝わるなど多くの利点がある。しかし,問題もたくさんあり,これが中小企業の弱点ともなる。企業は自らの弱点をよく意識しなければならない。赤福もこの弱点の罠にはまったのである。報告書によれば,この弱点について次のように記載されてある。

家業的経営システムにおける弊害の顕在化(会社機能が個人に依存)
 株式会社赤福においては、創業家を始めとする一部の経営陣に権力や情報が集中し、責任と権限の委譲が十分に行われておらず、組織間で相互牽制が働くような組織体制も構築されていなかった。そのため、会社機能が一部の個人に依存・集中してしまっており、その判断や行動を組織的に食い止めたり軌道修正することが出来ない状況となっていた。
 また、株式会社赤福においては、上記の状況が原因となって閉鎖的企業風土が醸成され、上層部に意見が言いにくい雰囲気が存在していた。その結果、現場は、「残品なし」という経営方針を達成するためには手段を選べないような状況に追い込まれ、「先付け」や「まき直し」等の不正行為に走ってしまった。