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№118 中小企業による地域貢献(雇用)

中小企業法務 №118 中小企業による地域貢献(雇用)

 中小企業の地域貢献の一つに雇用があることは間違いない。大企業は期間労働者派遣労働者を大量に雇い入れ,昨今のような不況下では直ちに雇用調整に入る。しかし,中小企業ではそうはいかない。どんなに苦しくてもそう簡単に首を切れるものではない。

 2008年環境白書によれば,小規模企業経営者は「雇用の場の提供」に強い関心を持っている。この従業員たちを路頭に迷わせる訳にはいかないという考えが,経営者の踏ん張りを支えているのかもしれない。

 ところで,中小企業白書では東京都葛飾区の株式会社杉野ゴム化学工業所の例を紹介している。この企業の社長は雇用確保から進んでさらに地域人材養成に進めている(2008年白書161頁 Case3-1-4)。グローバリゼーションに対抗するために中国大連に工場を持っているほか,諸外国に地域が技術力で負けないよう,「中小企業における若手人材の養成や地域とのつながりを重視した」。そして,さまざまな地域人材養成プログラムに取り組んでいる。

 地域で雇用を確保する。そのために地域の人材の質の向上を図る。雇用した人材をさらに成長させる。こうして地域の人材全体の質的向上が図られていくかもしれない。中小企業が雇用によって地域に貢献するとは,単に失業率を下げるだけではない。人を育て,それを通じて文化を創っていくところに地域貢献の意味がある。