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№2163 風通しのよい会社

№2163 風通しのよい会社

内部通報制度は大企業だけの話ではありません。
 中小企業でも風通しのよい会社は下の者が会社の問題点について社長や幹部に社内を伝える文化がある。内部通報と言うと大げさだが,「社長,実はお伝えしたいことがあります」と言ってくれる文化が必要のように思う。

  平成18年に公益通報者保護法が施行され,同じ年12月9日には消費者庁消費者制度課から「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」(以下、「内部通報ガイドライン」)が公表された。平成28年12月には政府において「民間事業者向けガイドライン」が改正されている。

 こうした政府の試みが「密告」という暗い言葉を「内部通報」という言葉に換え,とにもかくにも,内部通報は企業のガバナンスの点から言っても有益であるという認識が広まっていることはよいことだと思う。

内部通報制度の注意事項
 内部通報があった場合,次の2点がもっとも重要だ。
 ① 通報者の保護,匿名性の確保
 ② 公正な立場からの調査(利害ある者に調査させない,利益相反者の排除)

 この2つの視点から,通報窓口,取扱部門,調査方法,利益相反者の排除,通報者の匿名性の確保,が決められる。通報者の訴えが必ず真面目に取り上げてくれる,会社は必ず守ってくれるという安心感も必要だ。そのためには社長などトップマネジメントの決意が常に示されなければならない。

中小企業の場合はたいそうな制度はいりませんが
 中小企業の場合,組織が小さいので大げさな制度は必要ないかもしれない。しかし,違法行為が行われている場合に,それを是正するしくみは必要だ。少なくとも,悪いことを悪いと指摘したら会社は褒めてくれる,必ず守ってくれるというような社員と会社の信頼関係は大切だろう。

 私の事務所ではまだ経験はないけれども,たとえば,顧問弁護士に通告するよう制度化するとか,役立つかもしれない。

 食肉偽装や産地偽装など,社内のどこにも言うとことろがなく,いきなり行政やマスコミに伝えられたとしたら会社の被害は大きい。社長も悪いことととは思いつつ,リスクの大きさもわからないまま不正を続けているかもしれない。赤福の賞味期限を偽装した事例は中小企業にも大きな教訓となる。

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