№2175 人は社会を作る動物だって
人が自然に作れる集団数は150人ぐらいだそうだ。人が進化して獲得した「脳」の能力の到達点らしい。
チンパンジーやゴリラも集団を作るが人の単位よりも小さい。他人をイメージする領域も人の方が圧倒的に大きい。人はこの能力によって集団の共通の意識,音楽や宗教などを作り上げ,集団を大きくしている。ロビンソン・ダンバーによるとこれが進化上の「脳」の到達点だそうだ(「人類の進化の謎を解き明かす」インターシフト社)。
人は進化して心を獲得しました
ダンバーの研究は人が猿から進化し,社会を作り上げる能力を獲得していった過程をテーマにしている点でとてもユニークだ。400万年前に誕生した人類の祖先と50万年前に誕生したホモサピエンスとは脳の大きさが違う。それに対応して認知の能力も違い,集団の構造も違うというのだ。
人の自然な集団は150人
作れる集団数はこの認知の能力に比例する。人は脳を発達させて他の種を圧倒する認知能力を獲得している。150人という数字はかなりよく当てはまるようだ。例を挙げれば切りがないようだ。
石器時代の村落 150人から200人
古代ローマの歩兵隊 120人から130人
18世紀のイギリスの集落 160人
ゴアテックス社の工場ユニット 150人
進化上獲得した認知能力はコミュニケーションに利用される。能力の限界は150人ぐらいだというということになる。私はFacebookの友達が2000人ぐらいあるが,その中で実際に交流できる数値はやっぱり限界がある。世界の誰もがアクセスするが,SNSコミュニティーは意外と狭い。
集団能力も外部環境に左右される
もちろん,この集団形成能力が発揮できるかどうかは外部環境に左右される。忙しければ人と接する時間は限られる。人が分散して会うために時間がかかれば接する人数は限られる。ダンバーはコミュニケーションのためにどれほど時間が費やされるかで集団のレベルが異なってくることに注目している。
猿も食べ物を探す時間にコミュニケーション時間をとられると集団も小さくなる。人間も同じことだ。自分の集団が150人ということであれば,自分が所属する集団の質を高めるために,「時間」を基準に合理化する必要がある。「友達は選べ」ということかな。
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