№1974 M&Aにおける弁護士の役割
当事務所はM&Aも扱っている。
現在、事業承継の問題が大きな問題となっている。数年前から言われていたことだが、今や待ったなしの状況にあるようだ。そんな中、会社の売買が事業承継の一手段となっている。会社を売却して多額の代金を得る一方で、会社を存続させ従業員の雇用も確保しようというのがその理由だ。
M&Aの2つのタイプ
一口にM&Aと言っても、社内に後継者がいない場合といる場合とではかなり様相が異なる。
社内に後継者がいない場合
社内の後継者がいない場合には全くの第三者に売却してしまうのであるが、この場合、仲介者を必要とする。中小企業売買を専門に扱っている業者もいれば、銀行などが橋渡しする場合もある。M&Aを専門にしているコンサルタント会社や時には個人でコンサルタントを行っている専門家も仲介にすることがある。
この場合の課題は売価をいかに大きくするか、売買に伴う課税をいかに小さくするかということになる。さらに、残された社員の処遇もきちんとしておかなければならない。それは企業としての責任という面もあるが、社員が残らなければ会社の価値を維持することができないという面もある。
社内に後継者がいる場合
社内に後継者がいる場合には、法的にやかましい手続きはそれほどない。むしろ、最大の問題は資金調達と借金の処理にある。
従業員にとって、数億という金銭は天文学的な数字で、どこから手を付けていいか分からない。世の中にはMBOとかLBOとか魔法のような手法があり、未来の会社の生産活動を担保に資金を融通するという手法がある。また、事業承継のための資金調達支援制度などもある。社長もすぐにまとまったお金が必要なければ、分割してもらうという方法もある。
法律家の役目
たとえば、株式の売買契約が適式であるか、賃貸借、顧客との契約関係など承継しても問題は無いか。知財、資格、許認可の承継、労働契約の承継など、企業価値を決める重要な法律関係について弁護士は整理し、無事買主に引き渡されるよう細かに検討することになる。
後継者が社内にいる場合にあっても役割は同じになるが、この場合、税理士などといっしょに事業承継全体のスキームを検討することになる。普通は3年から5年先を見越して事業承継プログラムを創り上げていく。この場合も、事業承継の枠組みは法律家が決めなければならない。
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