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№2113 会社売却は本当に得策か?

№2113 会社売却は本当に得策か?

 事業承継が大きな問題になっている。中小企業のM&Aも盛んだ。
 たとえば,純益1億円前後の中小企業だと5億円から8億円で売れる。起業してこれくらいの価格で売れると中小企業のおやじの一生としては十分だろう。しかし,本当に得かどうかよく考える必要がある。それは,一時のお金が幸福をもたらすとは限らないからだ。

案外安値で売っている
 純益1億円もあるような会社は経営は安定している。さらにM&Aで売れるような会社の場合,後継社長候補となるような社員がいることも少なくない。
 実は社長は自社の価値を知らない。たとえば,退職金も入れて4億円ぐらいで売れれば,ラッキーと思っているかもしれない。ある会社では5億円で売った会社は,5年後には7億円で転売されている。

長く,利益を得た方が得かもしれない
 売却できるような会社だったら,後継者に任せて長く利益を得る仕組みを考えた方が得かもしれない。社長は退職金を得て,長期にわたって給料が支払われるようにする。自分の身の回りのことも難しくなれば,会社で人を雇ってもらって世話をしてもらうということもある。私の知っている会社では創業者は亡くなったが,会社では創業者の夫人を今でも世話をしている。役員報酬を支払い,運転手もつけている。万一,施設に入るようなことになれば会社が相応の手配をするだろう。

会社を売るということはけっこう後ろめたい
 創業者は会社に対するそれなりの愛着がある。我が子のようなものだ。そこには自分のために働いてくれた従業員もいる。会社を売却した時は,自分の人生の成果として巨額のお金を得てうれしいかもしれないが,年をとるにつれて会社が恋しくなったりする。本当にあれでよかったのかなどと思ったりするかもしれない。

そうは言っても後継者はいない
 そうは言っても後継者がいないことが悩みの種だ。
 長期債務もあるような会社の場合,有能な従業員でも引き受けたがらないかもしれない。そもそも,従業員には会社の株を買うだけの資力がない。

 しかし,それは社長の勝手な思いこみかもしれない。後継者のめやすとなる社員にはゆっくりと話してみればそれなりの覚悟を持つ可能性がある。

会社を売らずに社長を雇ってみる
 最近は人材業も発達していて,社長となるような人物を短期に雇い入れることも可能性がある。
 高学歴で,大企業に就職し,エリート社員になって,転勤や過酷な競争下におかれていやけがさしている者もいる。転職サイトを注意しているとかなりしっかりした若い人材を確保でき,案外将来の社長候補になったりする。

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