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番外 法科大学院のみなさんへ 用語の定義と問題の所在

番外 法科大学院のみなさんへ 用語の定義と問題の所在

 まずい答案の特徴は用語の定義を正確に理解していないことが多い。用語の定義はそのまま問題の所在に結びつくことが多いので,問題の所在もあいまいになる。定義は正確に,問題の所在はコンパクトにというのが鉄則だと思う。

 通謀虚偽表示の場合,当事者間が通謀して内心の効果意思を伴わない法律行為がなされる場合を言う。偽の契約書が作成されている場合,たとえば銀行に見せるためだけということになると,外形的には契約書という形で意思表示がされている。しかし,うそ,内心的効果意思はないので虚偽の表示ということになる。

 善意の第三者が登場する場合には,行為の外形を信頼した第三者は保護されるかが問題の所在となる。定義が正確に理解していないと,権利の外観,第三者の信頼の対象が何かがあいまいになってしまう。

 ともかく,よい答案は定義が正確に理解されており,問題の所在の指摘も単刀直入となり,わかりやすい。問題の所在でくどくど書いている場合は,結局問題となる局面を言い現せないた,くどくど説明している。