ティール組織(英治出版)では示唆に富む記述が多い。
たとえば、意思決定のルールとしてコンセンサスだが、たとえば、どんなにつまらない意見でも満足させようというのは議論が麻痺し、「出口の見えない苦行」となる。責任も希薄になってしまう。むしろ、発案者の意見を尊重し、その意見を実現するためには何が必要かを議論するという「助言のプロセス」のほうが有益だというのだ。確かにその通りだ。
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助言のプロセス
「原則として、組織内のだれがどんな決定を下してもかまわない。ただしその前に、全ての関係者とその問題の専門家に助言を求めなければならないのだ。決定を下そうという人には、一つ一つの助言をすべて取り入れる義務はない。目的は、全員の希望を取り入れて内容の薄くなった妥協を図ることではない。」
助言システムの利点
ティール型組織のバーキさんに対するインタビューには次ような部分がある。
この仕組みは、まず目の前の問題について助言を求められた人々の関心を引きつけます。彼らはその問題の所在を知り、分かった上で批判したり応援してくれたりするのです。情報を共有することで人々は「同じコミュニティーにいる」という感覚を強めます。助言を求められた人はだれでも、それを光栄に思い、自分が必要とされていると感じます。
助言はコンセンサスではない
助言のプロセスでは誰もが事業について決定できるため、上司(ボス)がいない。コンセンサスは誰でも平等な発言権を持つという考えだ。しかし、「実際には、参加者全員がめいめいに勝手なことを主張する、集団的エゴの嵐に陥ってしまうことが多い。」ときには「どうでもよくなり『何でもよいから早くだれかに決めてほしい』という状況になることも珍しくない」。
コンセンサスは責任を曖昧にする
コンセンサスの場合、「責任の所在が希薄になるのだ。多くの場合、最終判断に責任を感じる人がいない。最初の提案者は、自分のアイディアがグループの中で原形をとどめないほどに薄められてしまった不満を抱くことが多く、そこでなされた判断を積極的に支持しないかもしれない。」
一方で、助言のプロセスは決定者、責任者が存在する。
「コンセンサスが組織から情熱を徐々に奪っていくのに対し、助言のプロセスはモチベーションと実践力を大いに刺激する。」