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№1907 株主総会が攻撃の材料になる場合があります

№1907 株主総会が攻撃の材料になる場合があります

 中小企業では株主総会や取締役会はかなりいいかげんだ。年度毎に税理士さんが適当に議事録を作っていることも少なくない。しかし、ひとたび問題が起こると株主総会の有効性が重要な争点になる。

 東京地裁平成27年の事例はそういう事例の一つだ。
 この事件は一部の役員が会社資金を背任横領したとして経営者内部で抗争が繰り返された事案だ。役員、解任、退職金などに関連していくつもの裁判がある。その一つとして株主総会取消の訴えが提起された。

 会社からはじき出された側は経営責任を追及するために事業報告書、計算書類(貸借対照表損益計算書など)の法定備置書類の閲覧を求めていたが、会社はこれを拒否している。事業報告書は作成されておらず、監査報告書もなかった。

 会社法442条は法定備置書類を備え置き、閲覧・謄写させなければならないとしているが、本判決はこの備え置きは株主総会開催手続きの一環であるとして、その懈怠は取消事由該当するとした(東京地裁H27.10.28判時2013号109頁)。

 中小企業の場合、株主総会招集手続きなど見向きもしないが、実際に紛争になると法律通り進める必要がある。議事録などもきちんと備えておかなければならない。思わぬところで取締役の地位を失ったり、多額の賠償を支払う羽目になったりする。

 こうした内部で深刻な問題が生じた場合には顧問弁護士とよくうちあわせながら、万事遺漏のないようにしなければならない。

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