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№2204 50:50の株式割合

№2204 50:50の株式割合

共同して起業しても仲間割れすることがあります
 友人同士で起業する場合,株式の割合をイーブン,50:50にすることがある。しかし,最初は仲良くても途中で仲間割れすることも少なくない。経営をめぐるトラブルは思ったより根が深い。

合弁契約では撤退のルールも決めておきます
 一緒に出資して会社を作ることを私たちは合弁とよんでいる。一般的には複数の企業が合同することだが,個人同士で出資するのと変わりない。通常の合弁であれば合弁契約というものを締結する。この契約書には撤退に際してのルールも決めておくのが通常だ。

 この撤退のルールを決めておかないというどのようなことになるだろうか。

出資割合が同じだと何も決められなくなります
 例えば,出資割合が同じであるような場合,仲間割れすると株主総会は何も決めることができない。例えば,パートナーを取締役から解任させようとしてもできない。逆に社長を辞めさせようと思ってもできない。本来であれば決算もできない。増資して割合を変えようとしても株主総会では否決されてしまう。

会社が大きくなってからだと手遅れになることもあります
 仲良く始めたのであるが,途中で仲間われをして一人が会社に残り大きくした。しかし,株対策は行われていなかった。会社の株価は上がり,いざ買い取ろうとしても値段が高くて買えなくなってしまった。会社が大きくなればコンプライアンスも重視される。株主総会もまともに開けない会社では社会的信用ももたない。

水戸地裁土浦支部の事例
 水戸地裁土浦支部の事件では仲間割れして,追い出された株主が株主たる地位の確認を求めて提訴した事例だ。被告側は追い出された者は名義は株主だが,出資していないとして争った。確かに最高裁は株主は名義だけでは決まらないとしている。真に出資した者が株主だとしている(H42.11.17判タ215号101頁)。

 しかし,この事例では実際にお金が動いているようだし,仲間割れするまでは経営に参与していたようだから,株主の地位を否定するにはいかにも無理があった。判決は原告の請求を認め,原告の株主たる地位を否定した会社に損害賠償を命じた(判タ1449号239頁)。

 会社は出資割合が同じなので,仲の悪い者どうしが永遠に同じ会社の株主のままでいることになる。

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