№2131 いわゆる「名義株」の取扱い
株主に対する無関心
中小企業のほとんどが株式に無関心だ。今では1人でも設立できるが,過去には設立時に株主(発起人)が7人必要だった。そのため,古い株式会社の場合,いつまでも設立時の株主が存在してしまう。20年も30年も前の株主の名前が残っているというのもめずらしくない。
株主が不明だと困ることがあります
こういう会社は当然株主総会に対する関心も薄く,税理士さんなどが適当に作っている例は普通にある。株主総会が本当に必要な時に,開くことができないということもあったりする。会社財産を整理する場合,株主総会決議が必要な場合がある。その場合,株主総会を開かなかったばかりに無効にされてとんでもない結果になることがある。
会社を相続する場合,事業承継のために株式を譲渡する場合など株式を整理しておかないと,売ろうにも売れなくなってしまうことがある。
名義株対応をどうするか
過去の株主については「いわゆる名義株」と呼ばれるもので,実質的所有者は創業者ただ一人ということもある。株主総会の実績はなく,配当もない,名義人からは何もクレームはないなど事情から,真の所有者はオーナーとして処理してしまうことはできる。判例上は真実出資した者(現にお金を出した者)が株主だ(但し、有限会社には争いがあるので注意してください)。
問題は確定申告に際して,株主を記載しなければならないため,税務署に対する説明が可能であるように証拠をそろえておくのが望ましい。例えば,名義人本人から名義株であるとの確認書を取り付けるというような方法もある。
名義上の株主が、いや私は名義だけじゃないと言ってきたら、その時は裁判で争うほかはない。しかし、実際に経営に関与せず、総会の実績もなく、配当もなく、これまで何も言ってこなかったなど諸事情が組み合わせれば、名義人の主張を退けられることになる。
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