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№2132 業界の構造分析と自社のポジション

№2132 業界の構造分析と自社のポジション

マイケル・ポーターは「競争の戦略」の中で業界分析の重要性を説く(179頁)
 ポーターは「業界」を「互いに代替可能な製品をつくっている会社の集団」と定義し(19頁),その構造分析と業界内部での自社のポジションを明らかにすることが大切だという。

 業界の構造分析というのは業界には業界特有の競争状態があり,その競争状態を左右する要因を分析するということである。この場合,業界内の類似の戦略を持つグループに分けることができる。

 自動車であればトヨタのように大衆向け自動車を大量販売する戦略もあれば,ポルシェのように富裕層向けに高ブランド,高付加価値自動車を販売する戦略もある。業界内のグループがどのような視点で分類できるかが業界分析の第一歩ということになる。

業界分析の座標軸設定こそ知恵の出しどころだ
 例えば,トヨタは規模の経済を働かせるためには高品質,高価格よりも品質は犠牲にしてでも低価格であることの方が重要だ。世界最高の質を持ついデザインと世界最高の質を持つ技術でブランドを作る場合は低価格で大衆に呼びかける必要はない。この場合,高品質・高価格の縦軸と,そこそこ品質と低価格の横軸に分けて分析することが可能となる。この座標軸の設定では経営者の知恵が試される。

業界内でのポジション分析から戦略の選択がおのずとできる
 自社は業界内でどのようなポジションにたつかが分かるとライバルは誰であるかはっきりしてくる。ライバルとの関係で真の競争が生まれるわけで,それに打ち勝つのか,それとは別の道に移行するか,その両方かが企業経営戦略の大きな分かれ目になっていく。

業界全体の変化を読み取り、戦略は選択される
 業界内のポジションは業界全体の地殻変動を察知しつつ最適を選択する。インターネットが発達し,誰もがタブレットを持ち,さらにIOTやAIといった技術が進歩する今日,どの業界も大きな変化にさらされている。その中で自社の業界内での分析を的確に行い,いまのままで留まり事業を強化していくのか,新しいポジションを求めて業態革新に動くのかは大きな決断が必要となる。

 これは昔から経営判断とよばれる領域だ。
 マイケル・ポーターの天才は,この経営判断と呼ばれる領域に判断の要素,つまり判断過程を客観化できる分析の要素を提供したところにある。

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