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№1864 著作物の取り扱いって?

№1864 著作物の取り扱いって?

 著作物は著作権によって保護されている。勝手に複製したりすることはできない。でも、私的使用は許されるんじゃないの?

【私的使用】
 著作権法30条は私的使用目的であれば著作物を利用できるとしている。
 「 個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、原則として複製することができる、としている。しかし、いくつも例外があるので注意を要する。

 私的使用のみが許されているので、業務上利用する場合は著作権違反になってしまう。会議とかプレスリリースとか厳密に言うと著作権違反だ。しかし、実際にはそんなところには目が及ばないし、実際多少のことにいちいち目くじらを立てていたのでは著作権者も疲れてしまう。

【引用】
 著作権法32条1項は「公表された著作物は、引用して利用することができる。」としている。著作物の引用によって学術的な論議も深まる。なんでもかんでも禁止ししてしまうと学問の未来はない。そこで引用の範囲で複製することが許されている。

 しかし、形ばかりの引用というのでは著作権保護が骨抜きになってしまって具合悪い。法律は「その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とくくりをつけている。

 文脈全体から引用であると分かる場合も多いと思うが、著作権違反の疑いを防止するために「引用」であることを明示している。そもそも、著作権法48条は「著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。」という条文を用意している。

 何が引用になるかは難しい問題だが、利用の目的、方法、態様、著作物の性質、著作権者への影響などが考慮されていると言われている。これも、あいまいなところを判断するので難しい問題だ。

 このように著作権の無断転載はけっこうデリケートなのだが、インターネット社会ではかなり横行している。 

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