№1627 不公正な取引と差し止め
独占禁止法19条は「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」と定めている。
不公正な取引によって「著しい損害」が発生する場合,そのおそれがある場合は損害賠償請求や行為の差し止めが請求できる(法24条)。
あるタクシー会社が個人タクシー事業者の駅前タクシー待合所において,立ちはだかる,座り込むなどしてタクシーを発進させる行為を妨害する行為に対して,独占禁止法19条,24条に基づいて,妨害行為を禁じる判決が出された(大阪高裁H26.10.31,判時2249号38頁)。差し止めまで認める事例めずらしいので参考になる。
ところで絵,不公正な取引方法については公正取引委員会が16の行為類型を定めている。不公正というのは原則として正常な商習慣を基準に判断している。抽象的にしか定めていないの意外に使い勝手がよい。
その項目は次の通りだ。
①「共同の取引拒絶」
業者内で共同して取引を拒絶するものでいじめのようなものだ。
②「その他の取引拒絶」
③「差別対価」
不当に、地域又は相手方により差別的な対価を決めている場合。
④「取引条件等の差別取扱い」
⑤「事業者団体における差別取扱い等」
事業者団体若しくは共同行為からある事業者を内部的に差別的に扱う場合。
⑥「不当廉売」
⑦「不当高価購入」
高い対価で購入し、他の事業者の事業活動を妨害する場合。
⑧「ぎまん的顧客誘引」
他業者よりも優良と誤認させるような行為があたる。
⑨「不当な利益による顧客誘引」
不当な利益をもって、顧客を自己と取引するように誘引すること。
⑩「抱き合わせ販売等」
⑪「排他条件付取引」
競争者と取引しないことを条件として取引し、競争者の取引の機会を減少させる.
⑫「再販売価格の拘束」
⑬「拘束条件付取引」
⑭「優越的地位の濫用」
取引上の地位が優越していることを利用して取引を強制するような例
⑮「競争者に対する取引妨害」
⑯「競争会社に対する内部干渉」
国内において競争関係にある会社の株主又は役員に対し、不利益となる行為行為をそそのかすなどすること。