№1819 公開データベースの保護
情報は、今や人・もの・金に次いで第4のファクターになるほど事業上の大きな要素になっている。
大量データは整理されデータベースとして利用されている。データベースをウェブ上で公開することによって利益をあげる事業も存在する。たとえば、医療機関の情報サイトなどがそうだ。弁護士の世界でもある。
公開されたデータベースはどのように保護されているのだろうか。
公開されたデータベースを利用して他社が事業を展開できるだろうか。
東京地裁はこれに一定の判断をしめした。
原告は医療機関にかかわる所在地、診療所名、電話番号、診療時間など情報をデータベース化してインターネット上で公開していた。
一方、被告は広く医療機関にかかわる情報を自動的に集めるシステムを利用して収集し、自動問診システムを構築する事業を進めていた。この収集した情報に原告の情報が含まれているため、原告は被告に損害賠償請求をしたのだ。
東京地裁はデータベースは著作物ではないが、費用、労力をかけて整理されたものであるから保護に値する場合があるとした。しかし、被告が利用した部分は、住所、診療所名、電話番号など一般に公開されているものであり、公開の必要があるものであること、利用の仕方のかなり異なること、どの程度利用したかも分からないことから不正行為にあたらいないとした(東京地裁H27.2.13判時2292号63頁)。
データベースの利用については東京地裁H13.5.25(判事1774号132頁)がある。
複製したデータベースを「その者と販売地域と競合する地域において販売する行為は、公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において、著しく不公正」としている。
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