№1626 中小企業と海外戦略
私が所属する中小企業家同友会では中小企業の海外戦略が課題となっている。
世界のグローバル化が進行して市場が「融合化」していることは明らかだ。融合化というのは人・物・金の相互通用の障壁が小さくなっていることかもしれない。何らかの形で海外に投資できたり,そうでなくても貿易にかかわる障壁が小さくなっている。
製造業であれ,小売業であれ,グローバル化するとは国内で一定のシェアを持っている企業が海外市場で販売できるルート獲得することだ。それが,国内に拠点を置き貿易ルートを作り上げることであれ,海外に投資して生産拠点を作り上げることであれ,課題は1つ,ルート(商流)の獲得だ。
もちろん,企業の規模,商品の品質,ノウハウ保持など多様な要素によって企業の戦略は異なる。しかし,検討するべき要素は整理できるように思う。それは,国内市場を開拓してきたことと同じで,「自社の差別化」と「チャネル開拓」に尽きるように思う。
たとえば製造業の場合,自動車生産などのように1つの体系に組み込まれて高品質部品を提供する方式,独立した高技術によって独立した市場を獲得する方式に分かれる。
つまり,国内で認められた差別化が海外市場で通用するように戦略を組むことになる。さらに,どのようなよい商品,サービスも認められなければ内のと同じで,差別化された自社の活動が,海外ルートとつながらなければならない。商流の獲得は商社がルートを持っているかも知れないし,現地ローカル企業が既にチャネル利用して商流を開拓できるかもしれない。
こうした試みは実は日本で差別化をはかってニッチをとってきた歴史と変わりない。自社の製品を当地(タイや中国)で差別化を図る戦略を図ることになる。タイや中国の市場が要求する需要,顧客の価値を見いだし,自社の強みを整理し,双方の関係を多様な視点から結びつけていくことになる。ルートを持つ可能性があればあとは技術的な問題として処理できる。
グローバル市場における差別化戦略の開拓は小売業にも当てはまる。日本の高品質な緑茶は中国のお茶に負けない。中国での差別化戦略を総合的に考え,自社の商品価値と中国消費者の価値の相互関係を多様に検討し,さらにチャネルを開発する。関税や人・物・金の移動は技術的問題として処理されていく。