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№1621 税理士,司法書士が作成する契約書の危うさ

№1621 税理士,司法書士が作成する契約書の危うさ

 私たちの業務において時々税理士や司法書士が作成する文書に出くわす。賃貸借契約であるとか,売買契約と言った内容が単純で,書式も一般的に流通している契約書であれば問題は無いが,オーダーメイドの契約書となるとかなり注意を要する。

 たとえば,M&Aにかかわる契約書を税理士が作ったりすることがある。M&A契約は金額も大きく,個別性が高いので単純な定型処理はできない。弁護士であっても経験がないとこのような難しい契約書に関与することはできない。

 しかし,このような契約書について税理士や司法書士が作ってしまうことがある。私たちから見れば,このような重大な責任あることを軽々とやってのける感覚が分からない。しかし,税理士の先生の中にはある種の「実務上の慣れ」でいいかげんな文書を平気で作ってしまうことがある。

 もちろん,大部分の税理士や司法書士の先生は自分の専門領域をきちんと理解し,難しい案件であれば私たちに相談した上で依頼者にアドバイスする。

 ともかく,普通の人から見れば,税理士も契約の専門家かなぐらいに思うので税理士や司法書士の作った文書を安心して使う。

 最近もこんなM&A契約に関連してこんな会話があった。依頼者は契約書の不備から○千万円の支払いを求められている。

「どうして,こんな契約書になったんですか。」
「税理士の先生が行政書士の資格もあるので作れるということだったので。」

「でも,これではあなたが○千万円を相手に渡さなければなりませんよ。」
「だから,○○という条件がついていると思うのですが。」
「そのような条件になっていないです。こんな文書では条件とは言いがたいですよ。中身が違うじゃないですか。」
「内容を細かくするとかえってトラブルのもとになるから簡単の方がいいと言われました。」

「どうして,弁護士と相談することになったのですか」
「別件で警察に相談することがあって,その時にこの事が話題になり,これは弁護士にきちんと相談しなければだめだと注意されたんです。」