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№1837 契約書の見方

№1837 契約書の見方

 契約書を検討したり、見たりするとき弁護士はどんな思考方法をするだろうか。

1. 法律関係の骨格をつかむ
  一般の人から見るとかなり当たり前な作業だ。しかし、これはイロハのイで見落としはならない。
  たとえば、「売買」、「賃貸」、「請負」とかどんな契約なのかなと考える。その上で必要なことが記載されてか確認していく。

  売買 → 物を買う → 代金を支払って物の所有権を受け取る
       ① 代金はいくらか
       ② どうやっていつ支払うのか
       ③ 物は何か
       ④ どうやっていつ受け取るのか

  という具合だ。こうした訓練は大学や法科大学院司法研修所で鍛えられる。

2. 「利益」は何かをつかむ
  実務家になると、上記だけでは足りない。
  クライアントが取引でどんな利益を狙っているかをつかんでいく必要がある。契約書というのは「利益を固定する」働きがある。多くの場合、クライアントは利益の内容を正確に把握しているとは限らない。

  たとえば、サービスという付加価値をつけて販売したいという時、付加価値の中身は特定しているのだろうか。過剰にサービスの範囲は広がらないだろうか。
  逆に、買う側は期待したサービスを確保できるだろうか。

3. 契約のプロセスを具体的にイメージする
  契約締結の時、締結後の履行のプロセス、契約完了後クライアントは契約で得られたものをどのように利用するか、利用中にどんな問題点が生じるかなど、いろいろ検討する必要がある。

 たとえば、機械購入後の利用方法によっては、いろいろ事故が起こるかもしれない。修繕が必要な場合もあるだろう。こうした様々な事象に契約が対応できるか検討することになる。

 この時に依頼者の業務内容を熟知する必要があるため、ちゃんとした打ち合わせは欠かせない。時には工場など現場に行くこともある。

4. 契約を企業戦略の視点から俯瞰する
  大きな契約となると、企業にとって戦略上重要な役割をしめす。時には企業の将来像の設計にかかわる問題になる。弁護士はこうした企業戦略上の位置づけを理解し、本当に必要な契約であるか、他によい法的手段は無いのかを依頼者にアドバイスすることになる。戦略的な発送は弁護士によってかなり違う。

  利益を守るために戦うだけなら比較的誰でもできる。この場合、相手との交渉によって利益を創り上げていく作業ができる弁護士は少ない。それは「利益を創る」の意味がなかなか理解できないからだ。

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