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№1432 相続問題,事業承継の基本的考え方

№1432 相続問題,事業承継の基本的考え方

 事業承継では相続問題は当然避けられない。相続問題の基本は次に尽きる。
 ① 節税
   ・相続財産を小さくして財産移転(相続,贈与)に伴う課税を少なくする。
   ・各種各様の控除を利用して課税額を小さくする。
 ② 相続人対策
   ・事業承継者に株式など権限を集中させていく。
   ・承継者が他の相続人に支払う財産を小さくして負担を小さくする。
 
【節税】
 節税は税理士の役目となる。決算時の株価操作により会社の総資産を小さくした上で贈与や売買を活用して財産を移転していく。

 生前贈与の控除を利用して少しずつ暦年贈与を行う。場合によっては贈与税を支払っても余分に贈与した方が得な場合がある。相続時精算課税制度を利用することもある。

 後継者の役員報酬を増額して株を少しずつ買い取らせる方法もある。後継者が承継資金を借り入れて一気に買い取るという方法もある。買い取りは贈与ではないので遺留分の問題は原則出てこない。けっこう有益な方法だ。

 住宅用地など不動産にかかる特例がいくつかあるので活用した節税もある。

【相続人対策】
 大切なことは次のことだ。
 会社や不動産はそれ自体価値があるが,直ちにお金にはならない点だ。

 高額な株価の株式を相続して高額な財産を取得しても,株がすぐに現金になっている訳ではない。
 他の相続人は「財産を独り占めしてずるい」というが,株や固定資産はそれらを維持して次の世代に承継させるもので,自分のものであって自分のものではないところがある。

 そのため,平等主義を貫きすぎると,事業承継した者がばかを見る結果となる。株を承継したが,負担ばかりしょいこみ,時には借金も背負い込み,多額の相続税を支払い,さらに兄弟達には相続分のお金を渡さなければならない。

 事業承継にはこうした跡取りの立場を十分に尊重して,遺言,贈与,売買などを通じて負担を小さくしていくことが肝要である。 

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