名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№1265 方向の見える瞬間

№1265 方向の見える瞬間
 私には時々前の方がサーと見える瞬間がある。

 例えば、数学の難しい問題に取り組んでいると、何だかパッ見えて、「ああ、これは解けるな」と思うような瞬間がある。それは証明する数式がいちいち浮かぶわけではなく、何かできるかなとただ思うだけの瞬間だ。

 同じように、人生の方向がざっと見えて、ああこれで行こうかなと思うのだ。これは説明のできない瞬間だ。私だけではなく誰もがそういう瞬間があるのかも知れない。振り返ってみてあのときが人生の分岐点だったと思うようなひらめきかもしれない。
 
 私はここ何年間も弁護士としてのあり方や、法律事務所のあり方を模索してきた。新しい正義を実現したいと思う弁護士を迎え入れ、彼らにとって学校のような法律事務所作りたいと思ってきた。

 しかし、それはとても難しく、なかなか方向が見えてこない作業だった。
 利益をあげ、一方で社会貢献を実現し、さらに個々の弁護士を成長させなければならない。いろいろ考えが錯綜し、事務所運営の明快な理念に欠けていた。

 この記事を書いていて、うちの弁護士や事務員のことを思い浮かべ、事務所全体のことや私の事務所を支持してくれるお客のことやいろいろ思い浮かべていると、何だか「これは行けるかな。」という感覚が湧いてきている。

 新しい体制ができあがり、所長は所長の役割を持ち、若い弁護士たちはそれぞれの役割を持ち、事務員も役割をもち、全体が一つの生き物のような家族のようになっているような感覚を持っている。

 たぶん、今なら、順を追って整理すれば、事務所の明快な理念を組み立てることができるだろう。事務所に所属する全ての構成員の人生が見えてくるような気がしている。それは所員同士の役割の確認だったり、我々が提供すべきサービスの品質であったり、さらには営業上の展開だったりする。

 一つの企業体を運営するとは定義ができないところがあって、考え抜いた上での直感のようなところがある。その揺るぎない直感をもとに組織を組み立て、商品の品質を向上させ、さらに市場を開拓していく。事業を分析すること,、分析した上で行動することは比較的やりやすいが、その根本方針を直感する機会はそう多くない。