№2 採算意識を高める
京セラフィロソフィーによると,「京セラでは,アメーバ単位で[時間当り採算制度]を実施し,職場での仕事の結果が誰にでもはっきり分かるようになっています。社員一人一人が経営者の意識をもって,どうすれば自分たちのアメーバの[時間当り]を高めるかを真剣に考え,実践していかなければなりません。」
この採算意識については次の2つのことを述べている
① 一人一人が価値を生み出しているか
② 一人一人に無駄はないか
これはある意味当たり前のことだが,実践となると強い意識,経営者意識をもって臨むことが求められる。京セラでは「売上を最大に,経費を最小に」という考え方がある。一人一人の意識に自分の勤務している時間が十分な価値を生み出しているかという点は「売上最大」に相当する。無駄はないかは「経費最少」に相当する。
完全主義
この当たり前の意識を高めるという点では,稲盛氏はここでも完全主義を貫くよう求める。ビス一個,ナット一個の値段も知るぐらいにコスト意識を徹底しなければならないし,自分の給料がそれに見合った利益を生み出しているか,無駄に時間を使っていないかを問われなければならない。時間当りの生産性はこの経営者意識がどれほど高まっているかを客観化するための手法ということになるだろう。
こうした試みは創造的な作業だ
稲盛氏ははこれらの完全主義を貫くために「考え方」の透徹を求める。つまり,これはいちいちチェックして実現できるものではなく,前向きで創造的な人格のあり方の問題として捉える。ボルト1個が無駄になる,それが無駄になっているという「気づき」は創造的だ。無駄にならないようにするために何かアイディアを出す,これも創造的だ。
プロ意識
見方によっては統制によって締め付けるブラック企業という言い方をする連中もあるかもしれない。しかし,結局これは,プロ意識というものではないだろうか。少しでもいい仕事をすることで仕事に誇りを持ち,生きがいを感じることができる。これは締め付けられていると感じるか,生きがいを求めていると感じるかは個人のあり方や会社の考え方にも依存する。
当事務所の場合
当事務所では所長,弁護士,事務員の役割分担があるが,それぞれのプロフェッショナルなろうと呼びかけている。事務員は弁護士にはない能力を発揮して事務作業をする。弁護士は事務員にない能力を発揮して法律業務を行う。プロとしての強いプライドが,完全主義を保証する。