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№2128 稲盛和夫「大家族主義」

№2128 稲盛和夫「大家族主義」

稲盛和夫氏の講演記録を読んでみた
 縁あって稲森和夫氏の講演記録「人心をつかむ」を読んでみた。我が国を代表する経済人となった稲森さんのお話だが,中小企業から身を起こし,技術を磨き,社員を家族のように思い会社を大きくしていったお話に,稲森さんでもこんな時代があったのかと思い,大いに感じるところがあった。多くの経営者が「稲森さん」と親しみを込めて呼ぶ意味も分かる気がする。

「利益」とは何か
 どんな商売でも良いものとして社会に受け入れられなければうまくいかない。精神論としてかっこいいこと言っていても,実がなければ意味がない。それは結局「利益」という形で目に見えてくる。

「大家族主義」と「経営理念」
 しかし,社長として組織を束ねていく力量なくして会社は大きくならないし,ものも売れなくなる。 この講演では「大家族主義」と「経営理念」とが強調されていた。

 この大家族主義というのは信じ合える人間関係作りの一つだ。「私は京セラをつくったとき,従業員と私との関係は家族のような関係でありたいと思っていました。」「京セラの経営理念,つまり会社経営の目的に『全従業員の物心両面の幸福を追求する』という一文があるのはそうして従業員との関係に悩んでいたときに求心力なるものがほしいと思ったからです」

社員には厳しくしてこそ
 講演では社員らとのこころの接触の重要性が説かれ,慰安旅行であったり,忘年会であったり,運動会であったりのエピソードが出てくる。「そのようにして,従業員と信頼関係をつくる一方で,私は日々の仕事の場ではたいへん厳しく接しました。」「親父みたいに接しているからこそ,私自身仕事の場では本当にど真剣に働くと共に,従業員にもそのことを厳しく要求しました。」

エリートたちとはどんなつきあいをしたらいいのかな
 私はかねがね,社長と従業員との関係について,どうあるべきかを悩んでいる。法律事務所の場合,特に若い弁護士たちとの関係がどのように築き上げられるべいかが難しい。彼らは自分のプライベートな世界を大切にし,時にはそこに入られることをいやがる。彼らに「親父のために尽くす」「親父について行く」などという思想を述べてもセンチメンタルな「親父主義」を冷ややか目で見がちだ。

 大企業となった京セラにはエリート社員も多かろう。稲森さんはこんな風に言っている。「しかし,インとテリの人たちを集めてまとめていこうと思うと,どうしても大義名分になるような立派な経営理念というものがいるわけです。『私の人生観はそれほど立派ではありません』と言ってしまえば,インテリは誰もついてきません。」

結論
 親父のような愛情,仕事に対する妥協のない一生懸命さ,立派な経営理念(立派な人格),こんなのが必要なんでしょうね。足りないかな。

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