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№1372 積もった借金をどうするか

№1372 積もった借金をどうするか。

 長い年月かけて積もった負債の処理は中小企業では悩みの種だ。「俺には1億円の借金がある。」などと,借金が実力の証のように言って強気でいても,本音のところは苦しい。借金体質のある会社は,何かの変化で倒産する危機にいつもさらされている。

 もちろん,借金に対する対応策は地道な対策以外に無い。
 財務諸表を正確にして会社の財務状態を常に正確に把握する必要がある。銀行借金向けの装飾された帳簿などは銀行から見ればほとんど意味がないようだ。

 過剰な現金,ちっとも減らない減価償却,よく分からない在庫,未回収の債権,銀行マンからすればつまらない細工だということらしい。ともかく,財務諸表を正確にして銀行とは対等に渡り合っていく必要がある。複数の銀行とつきあい,金利の低減,支払いの長期化を追及していく。

 そうして,借金を減らしていく。
 事業計画を正確にしていくことになる。この時に「自分の顧客は誰か。」を考え直す。その上で市場の情況,自社の強み,弱み,ライバルの情況などを整理して,できるだけ競争を回避する形で自社のニッチを獲得していく。競争を回避するというのは逃げるということではなくて,他社とは違う方法,魅力で勝負して結果として競争に勝っていく発想だ。

 気をつけなればならないのは,帳簿上の収入は発生主義をとっているので,キャッシュフローベースでの収入と異なることだ。月々の損益計算書だけ見ていると見誤ることがある。バランスシートも考慮し,キャッシュフローを正確にしていく。

 こうしたことは会計士の先生とよく相談することが必要だ。そういう相談に乗ってくれない会計士の先生,事務員任せきりの先生は変えた方がよい。少なくとも借金の積もっている会社の会計士としては不向きだ。

 しかし最後にはどうにもならない時がある。

 これは時には倒産を覚悟しなければならない。しかし,そんな時でも絶対にあきらめてはだめだ。経営者たる者,借金で死ぬことは無いという強い居直りがなければやっていけない。こんなことは弁護士の言うことでは無いかもしれないが,気持ちの上ではかなりきついが「貸したおまえが悪い」というような居直りも死中を生き残るためには必要な時もある。

 この時に,生き残りをかけた最後の組織整理が行われる。事業譲渡,会社分割といった不採算部門の切り離し作業に入る。家族,社員を守るためのには仕方が無い。社会経済全体にとっても会社が消滅するより,会社が残った方が良い。

 もちろん,こうした荒治療をする場合には,社長はきちんの身の処し方を考えるべきだ。自分の財産を余分目に残して逃げようなどと言う卑怯な考え方は持たないことだ。そのような発想の社長の依頼はうちは引き受けない。

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