№1161 プロセス・コンサルテーション
社員と組織の関係を整理したキャリアコーンを提案した。経営学の分野では基礎的なことなのだろうが、とてもおもしろい発想だったので、シャインの著書を少しずつ勉強してみようという気持ちになっている。
シャインは組織行動論(organizaisional behavior)を経営学の専門領域として開拓してきた人だ。まだ、組織とは言っても結局は人で成り立っている。シャインが取り組もうとしたのは支援し、支援される関係とはどのようなものであるか、人と人、人と組織との関係で人や組織が物事に処して前進したとする過程はどのようなものであるか、こうしたことを研究したとのだろうと思われる。
これは、人の教育、発達にかかわる問題であるし、それにふさわしい組織のあり方、組織の運営はどのようなものが妥当なのかを考える学問でもある。私達は企業をしばしば学校のような教育の場としてとらえる。企業と学校とは人の成長を図る点で似ている。
もちろん、企業と学校とは目的が違う。利益を得ること、社会に貢献して企業を持続させることを目的とする企業は学校とは異なる。それでも、企業の中で人は育ち、人が育つことによって企業も発展する点で社内の教育は避けて通れない課題だ。
シャインの組織行動論はこの点、実に興味深い視点を提供している。
それは「過程の促進者」(process faciltator)となることの重要性を説いている点だ。職業人として人は専門知識を身につけていくことになるが、それだけでは不十分だというのである。人や組織に専門知識を与えるだけでは不十分だと考えているようだ。知識を与える相手(個人もしくは組織)がその専門知識を生かすことができるだけの主体的力量を作りあげることも必要だというのである。つまり、プロフェッショナルは専門知識を提供するだけでなく、提供される側が自発的に使いこなせるだけの力量が得られるよう援助を促進することが求められているという訳だ。
子供がどこかに行こうとする時、抱き上げて移動させてやるというのは簡単だ。シャインの発想は、歩き方を教え、自主的に歩けるようにし、自分の力で目的地まで行けるようにするという、プロセスを促進させる力が求められるということになる。
それが、会社における人と人との関係、組織と人との関係、外部コンサルタントとの関係など人にかかわる様々な局面での必要とされる「過程の促進者」たる振る舞いを検討してきたというのがシャインの組織行動論だ。
おもしろいと思いませんか。