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№1162 負けないで

№1162 負けないで
 どう考えても最近倒産事件が増えている。
 リーマンショック意向、低空飛行とは言え、なんとか持続させてきた企業が多いが、ひとつ、二つと倒産し、それに関連して倒産となる例も増えているのではないだろうか。

 私の事務所の基本的考えは、「事業が黒字になる限り必ず活路はある」という考えだ。資金ショートの危険があろうと、事業が黒である限り活路はあるはずだ。銀行に対する借金が多くあろうと、企業に黒字がなければ借金を返済することはできない。そういう企業は借金の操作によって多くが生き残ることになる。

 ある企業は取引先が倒産して、年末の資金回収のめどが立たなくなった。年末の借金が払えない、外注にも支払えない、社員への給料はどうするのだろうか、今、おかしなことをすれば、大手企業からの注文が止まってしまうかも知れない。

 社長やそれを支えている奥さんの不安は普通ではないだろう。こうした不安は中小企業の社長になってみないと分からない。この企業は弁護士との協議に入ることになる。時間をかけて現状を把握し、最善の方法を選択することになる。

 幸い、この企業はいくつかの利点がある。それは基本的に利益をあげている企業だということだ。借金がなければ企業は維持される。また、この企業は帳簿が整理されていた。この企業にとって現在及び向こう6ヶ月のキャッシュフローを把握することは容易だ。さらに、この企業は新規の受注が得られている。来年3月には業績が伸びる可能性がある。

 今回、取引先の倒産による損失はかなりになるが、おそらく銀行との条件変更の合意ができれば1年はもつことになる。その間に業績が伸びれば、リスケした債務を元に戻すことになる。つまり、業績を向上させて今回の損失を1年かけて吸収しようという戦略となる。

 この会社で私の心を打ったのは、どんなことがあっても従業員の生活は守りたいという社長の決意だ。「うちの社員は一生懸命働いていてくれる」。この社員たちの生活は守りたいという社長の決意に私も応えたいと思う。