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№363 店長と時間外労働,深夜労働

№363 店長と時間外労働,深夜労働
 店長は管理職,管理職手当も払っているという事業は多い。マックの店長はその典型だ。しかし,名ばかり店長で実態は一般労働者と同じだ。要するにマックの場合は時間外手当をけちるために店長を管理職として位置づけている状態が見え見えで,名ばかり店長という認定を受けてしまう。

 管理職は「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものの意であり、名称にとらわれず実態に即して判断すべきものである」(昭22・9・13発基第1号、昭63・3・14基発第150号)とされている。

http://homepage3.nifty.com/wisteria/tuutatu.htm

 ところで,管理職の場合,労働時間の制約を受けない(労働基準法第41条第2項)。しかし,深夜労働に対しては制約されている。労働時間の問題と,深夜の労働の問題とは別だというのが労基法の立場だ。

 だから,管理職であっても深夜労働があれば25%の割増賃金を支払わなければならない。

http://www.tokyo.doyu.jp/qa/2007/2007_10.html

 さて,裁判になるとこうしたことはかなり厳格に追及されてしまう。名ばかり店長をクビにすると,時間外労働手当,休日出勤手当,深夜労働手当と計算は単純だし,こうした請求は仕事としてはあまり考えなくて済むので,原告側代理人だったら楽な部類の裁判に属する気がする。

もし,経営者で裁判をされたら次の点を注意しよう。
① 管理職の要件は満たしているか。タイムカードなどで管理している場合には不利な材料となるが,そういう不利な材料をどのように説明するか。

② 時間外の計測は正確か。多くの労働者はタイムカードを持っていないので,営業日誌のコピーを持っていることが多い。事業者に対して,いつか言ってやろうと準備しているのだ。

 だが,よく考えて欲しい。
雇われ店長は「いつか辞めてやる。その時は裁判だ。」と思って資料を準備している。それはどんな職場だったのだろう。その職場は本当にやりがいある職場だったのだろうか。外の社員だって,多かれ少なかれ同じような考えを持っていないだろうか。

 それは,経営者として,儲けに走り,社員を犠牲にしていなかったろうか。社員をコストとしてしか見ない姿勢はないだろうか。