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№329 民事再生

№329 民事再生
 積もり積もった借金に大なたを振るってそぎ落とす方法に民事再生手続きがある。
債権者の多数の同意さえあれば、再建を大幅にカットできる。

 民事再生の依頼を受けた場合には直ちに再生計画案を作成して開始決定をもらい、徐々に準備を進めていく。再生計画案には債権一律90%カット、10%を10年払い、利息すえおき、などという夢のような計画が一般的だ。裁判所によって承認されれば再生計画となり、債権は大幅に減少する。

 しかし、多くの民事再生は手続きを全うすることができない。債権者、とりわけ、銀行、保証協会の同意を得にくいからだ。銀行にとってみれば、債権が10%とか、5%になってしまうのは大損というところだろうか。

 銀行などが再生計画案に同意するかどうかについては、いろいろな要素で判断されるようだ。破産された場合と比較して有利かどうか、配当見込みとの関係である。あるいは、事業計画が現実的であるか、抵当権実行した場合の回収量など、いろいろな要素が考えられる。

 再生会社がそれまで金融機関とどのようにつきあってきたかも、同意をえら得れるかどうかの重要な判断材料と思われる。社長がそれまでどんな経営をしてきたか、ある種の几帳面さ、まじめさといったものがあったかどうか。金融機関に対して誠実な態度であったか。情報の開示が適切であったかどうか。いろいろ存在する。

 さらに、民事再生を実行するに当たっては社長の処遇も大切だ。ほとんどの場合、社長は連帯保証人になっている。民事再生で90%カットとなっても、保証債務は残る。社長個人で数億という借金を返済しなければならない。ここのところの処理は難しい。