名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№323 食中毒事件の責任

№323 食中毒事件の責任
O157食中毒事件の記事だ。こんな場合は誰がどのような責任を負うだろうか。

ステーキチェーン店「ペッパーランチ」の利用客が病原性大腸菌O157に感染した問題で岐阜県は13日、肉を加工した同県大垣市の「大垣食肉供給センター協同組合」を立ち入り調査した結果、商品のステーキの保存品からO157が検出され、感染者から採取した菌とDNA型が一致したと発表した。県は食品衛生法に基づき、同組合に商品の30日までの回収を命じた。
 検出されたのは、同組合が8月3日に加工した「和牛入りサイコロステーキ」。同店を運営する「ペッパーフードサービス」(東京都墨田区)の流通センターを通じて各店に計2560キロ出荷され角切りステーキとして販売された。14都府県の19店舗で38人が食中毒症状を訴えた。」(9月14日0時39分配信 毎日新聞

1. 損害
  私たちはまず,どんな損害があるかなと考える。
 ① 食中毒になった人々の賠償責任
 ② ペッパーランチが負担する賠償金,営業停止や商品回収に伴う損害,社会的信用の失墜
 ③ 食肉組合の商品回収・廃棄に伴う損害,社会的信用の失墜

2. 責任
  損害が発生しているので誰かが責任を負うのだろうと次に考える。
 ① ペッパーランチの責任
   ペッパーランチが食事を提供する過程で十分や火を通さなかったことに責任があるか?

 しかし,牛肉の場合,半生で赤身のあるような焼き方も許されている。火を通さないことに責任があるだろうか。
 食品の規制の厳しさを考えると原則として責任を負い,十分な管理をしても発生したという特別な事情がない限り責任を負うように思われる。

【こんな事件があります。東京高裁 h16.1.26】
 被控訴人らが、控訴人経営の割烹料亭においてイシガキダイ料理を食したところ、食中毒に罹患し損害を被った旨主張し、製造物責任又は瑕疵担保責任に基づく損害賠償金の支払を求めた事案の控訴審において、上記料理が加工に該当しないし、開発危険の抗弁の成立する等の控訴人の主張を排斥して製造物責任を認めた原審の判断を支持し、同法上の加工とは、原材料の本質は保持しつつ新しい属性ないし価値を付加することで足り、また、被害者保護という法の目的等から、開発危険の抗弁を広く認めることは相当ではないと判示して控訴人の控訴を棄却し、損害額を争い付帯控訴した被控訴人の請求につき一部認容して原審を変更した事例。

   ・・・・・次回に続く・・・・・・