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№324 食中毒事件(2)

№324 食中毒事件(2)
 材料が原因して食中毒事件が発生した場合に,卸売業者はどのような責任を負うだろうか。

 ペッパーランチ事件での食肉製品卸売業者は「大垣食肉供給センター協同組合」だった。食肉加工の過程で商品に欠陥があったのだから何らかの責任を負担するだろう。

① 消費者に対して
  不法行為責任や製造物責任を負う。この場合,加熱処理が不十分だったペッパーランチとは責任を分け合うことになる。
② ペッパーランチに対して
  やはり同様の責任を負うことになるだろう。さらに,ペッパーランチとの間では契約関係に立つので,債務不履行瑕疵担保責任など契約上の責任を負担することになる。両者間は継続する取引関係にあったのだから,取引に関する基本契約があったかもしれない。その場合には商品の欠陥が生じた場合の条項があればそれに従う。

  ところで,ペッパーランチの損害には一体何があるだろうか。

① 被害者に対する賠償金
② 被害についての調査費用
③ 営業停止,乃至自粛中の不利益
④ 食品の回収費用
⑤ 社会的信用の低下

  全国的に販売している場合,回収となると大変な事態であることが多い。この場合の全てを卸業者が責任を持つ必要があるかというと問題があるように思われる。回収の範囲が必要を超えて,何でもかんでも回収していれば,それはそれやり過ぎなのだから賠償の範囲から外れるようにも思う。