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№229 労使の対話

№229 労使の対話
 中小企業家同友会の労使見解では労使関係における問題の処理について徹底した話し合いで理解と納得を得るとしている。また,双方のコミュニケーションをあらゆる機会をとらえて実践することが必要であるとしている。現状一致を大切にし,時には経理公開もすべきという意見もある。

 こうした労使双方の徹底した話し合い,あらゆる機会をとらえてコミュニケーションをとるというのは中企業ならではの対応である。規模が小さく現場の情報が即座に会社全体の情報として共有化されやすいのが中小企業の特徴だ。

 こうした対話の問題は実はこれまで積み重ねてきた労働事件の判例にも現れている。

 例えば,労働条件の変更であるが,労働契約法からすれば,合意による変更が原則である。就業規則の変更は原則として禁止され,例外的に許容される。許容される場合でも合理性などの要件の外,労働者に対して納得させる過程が存在したかどうかが要件となる。

 つまり,提案内容の合理性,必要性,双方の合意,合意しようとした努力などが評価されることになる。これは,経営者が経営に全責任を持ち,経営者側の事情を率直に述べ,経営者の誠意と経営上の合理的な判断を示すことで,使用者側に納得してもらう必要がある。

 ここの部分は労使見解の実践そのものということになる。