社員はともに働く仲間
例えば、中小企業同友会では労使見解というのを発表し、大切にしている。そこでは社員と経営者は企業の持続、発展という共同の目標に向かって共に育つ関係であり、パートナーであるとする。事業者は事業者としての責任を負担し、社員は社員としての責任を負担すると言う関係が示されている。そこでは、権利義務というドライな関係で割り切らない姿勢が現れている。
でも,社員は労働を提供する義務がある
しかし、雇用関係は契約であるし、雇用関係には労働者の権利を擁護するという考えから行政的な介入がされている。労使の関係は本質的には労働契約によって処理される。双方の守るべきものは守るという関係があってこそ真に対等なパートナーの関係が生まれる。
① 労働契約法5条は使用者の安全配慮義務を定める。
最高裁は「業務の遂行に伴う疲労や心理的負担等が過度に蓄積して労働者の心身の負担等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」とする(最判H12.3.24判時1707号87頁)
② 自殺対策基本法5条
「事業主は、国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、その雇用する労働者の心の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」
具体的には健康診断の実施、産業医の選任、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置、相談窓口の設置、社員研修の実施などあげたらきりがない。
厚労省は心の健康作りを進めている
労働省は「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針について」という基準を発表し、「心の健康づくり計画」策定を勧めている。
いろいろやってみて、会社が社員の異常に早期に気づき、早期に対応することが求められている。
もちろん、こうした措置を行うことは中小企業には不可能だ。中小企業は中小企業なりの対応策が必要となる。社長が考えなければならないのはメンタルヘルスだけではない。資金繰りだって考えているし、営業のこともある。最近はCO2削減だって考えなければならない。
メンタルヘルスに対する一般的な対策は中小企業向けにアレンジが必要となる。
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