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№228 労使が対等であること(労働者契約法)

№228 労使が対等であること(労働者契約法)
 労働契約法3条1項は次のようになっている。
「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。」
 この対等な立場というのはまさしく,「労使見解」そのものである。

 労働組合の衰退に伴って,労働事件とされる事件も市民事件の延長としてとらえた方がわかりやすい事件が増えてきた。例えば解雇事件であるが,組合がしっかりしている場合には組合の事件としてとらえてきた。しかし,解雇事件も個人の事件としてとらえられることが多い。
 
 これは,中層企業家同友会の労使見解がまとめられた1974年と情勢が全く異なる。原状ではほっとけば労働者の地位は弱く,到底対等な当事者関係という関係は望めない。そこで,労働契約法が制定され,法によって労働者の地位を保全しようと言う動きが現れた。

 「対等な立場」というのは法律家の目からみると当たり前の話なのであるが,現実はそうではない。「対等な立場」というのは実際にはかなり難しい。労使見解は使用者側の実際のあり方を模索し続けるものとして意味深い。

 中小企業家同友会では,この労使のあり方について労使見解に基づいて歴史的に議論が積み重ねられている。いろいろ議論を聞いていると,次のようにまとめられると思う。
 ① 徹底した話し合いでの理解と納得
 ② 社員を最も信頼できるパートナーととらえる。

 これは,私達の間ではインフォームドコンセントと言われる,納得と同意の過程によく似ている。