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№226 労使の関係

226 労使の関係
 私の所属する中小企業家同友会には「中小企業における労使見解」というのがある。これは1974年にまとめ上げられたもので,同友会では大切にされている。

 労使見解の骨子は次の3つからなっている。
 ① 経営者は経営について全責任を持つこと。
 ② 経営者と労働者は対等な契約関係であること。
 ③ 中小企業における労使は共通の課題に向かって行動するべき基盤があり,共同する関係なくして企業の存続発展はないこと。

 これだけみると,何のことはない当たり前の内容だ。労働契約法に同じことはちゃんと書いてある。しかし,この労使見解が生み出された時代的背景,労使見解のもとに自分の会社経営や,人生を考え,実践してきた会員事業者の努力には深く尊敬させられる。

 労使の関係は利益が相反する。指示命令の上下関係にも立つ。企業家は企業は自分の物であるという意識が強いことや,中小企業だからたいしたことはない,何でも法律通りにはできないというという卑屈な意識が時にはあることなど,中小企業の労使の関係は単純には行かない。

 そんな中,この労使見解は,きれい事ではなかなか行かないことはあるけれど,正しい道を決断しよう,それてやっていこうという,良心的中小企業家の決意と努力に溢れている。