№192 中小企業の解雇は是か非か?
労働者にとって,解雇は死活問題だ。だから,解雇は単なる契約解消とは異なる側面がある。解雇する場合は「正当事由」が必要だ。
判例上,整理解雇については4要件が必要だ。この要件はけっこうきびしい。
① 人員整理の必要性
② 解雇回避努力義務の履行
③ 被解雇者選定の合理性
④ 手続の妥当性
中小企業の場合,解雇はあくまでしないという考え方がある。事業者が解雇に踏み切るぐらいなら,あくまで雇用を確保して民事再生などの法的手続きを利用した方がよいという議論がある。
雇用も会社あっての雇用だから,断腸の思いで人員整理まずすべきであるという議論がある。
これは私には分からない。というのは,民事再生などの法的手続きを利用して,必ずしも成功するとは限らないからだ。つまり,つぶれてしまったのでは雇用も何もない。
しかし,一方で,小さな企業で,キャリアをつんでいっしょにやってきた労働者の首を切ってしまっては,企業として存続できないだろうという気もする。労働者が経営者を見捨てた場合はともかく,経営者が労働者を見捨てることはできない。