№193 労働条件の変更,賃金を引き下げることができるか。
雇用契約は契約だからいったん決めたらそう簡単には変えられない。契約だからというだけではなく,労働者にとって生活の糧だからそう簡単に変化させられたのでは労働者もたまったものではない。特に就業規則の変更はそれなりの手続きが必要だ。
こうした原則変更の禁止を法律上は不利益変更禁止の原則という。変更が妥当性を持つかは以下の内容などが考慮される。しかし,法律家でもいちいちこんなことを考えていてはやってられない。要するに経営者が誠意をもって,労働者と向かい合い,話し合い,納得してもらうかどうかが問題なのだ。
① 就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度
② 使用者の変更の必要性の内容・程度
③ 変更後の就業規則の内容自体の社会的相当
④ 代償措置その他の関連する他の労働条件の改善状況
⑤ 労働組合等との交渉の経緯
⑥ 他の労働組合または他の従業員の反応
⑦ 同種事項に関する我が国社会における一般的状況