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№191 派遣先と直接雇用の関係

№191 派遣先と直接雇用の関係
 派遣労働者の労使関係については余り知られていない。
 正規雇用の申し入れ義務については,労働者派遣法40条の4が定めている。

製造業などの場合「就業の場所ごとの同一の業務」において,「派遣可能期間を超える期間」を超えて,派遣労働者を使用することはできない(40条の2)。この場合の期間は原則として1年である(特別な要件がある場合は3年)。
 
 このような規制があるのは,労働者の派遣とういのはあくま一時的なもの,臨時のものしか認められないという考え方に基づく。長く使うのであれば,正規雇用をしなさいというのが法の趣旨だ。

 そのため,派遣労働者を使用する期間が1年を超える場合は,使用者は正規雇用を申し入れなければならない。途中,派遣労働者を使い始めて,1年の間に人が変わっても1年後には正規雇用の申し入れが必要だ。

 ところで,常に正規雇用が必要かと言えばそうではないところが,この問題の複雑なところだ。法律によれば,「期限の制限に抵触」し,派遣を停止する旨の通知を派遣元から受けることが必要なのだ。

 条文は複雑なので,判例も錯綜している。
 例えば,期間を超えている使用する場合には,申し入れどころか,「黙示の雇用契約」が成立するとする判決も存在する。