№1598 「試用期間」を入れる必要があります
文書は古くさいが中身は立派だ。経営者の経営責任を明確にする一方労働者の権利を尊重する内容になっている。その上で企業の繁栄をともに目指そうという。今では当たり前だが,この時代では大変だったようだ。
労使見解にあっても誰でもかでも労働者を受け入れている訳では無い。
世の中には問題のある従業員もいる。なんやかや言って中々働かない。ちょっとのけがで労災だと休んでしまう。業務中に携帯電話をいじり続ける。特にアルバイトや短期雇用の場合などは,働く側に帰属意識が少ないので無責任になりがちだ。
労働契約法では解雇は簡単ではない。正当性,相当性という要件が必要になっている。雇用は労働者の生活に直結するので当然と言えば当然なのだが,濃淡はある。その濃淡は「労働契約」の内容によって決まってくる。
たとえば,雇用期間1年という有期雇用契約場合,原則1年雇わなければならない。この場合中途解約はかなり厳しい。解雇が認められないと1年分の給料を支払わなければならない。
しかし,これに「3ヶ月の試用期間」とつけていた場合は事情は違ってくる。雇用契約の中に,能力を見極めるための判断期間という要素が入ってくるので「正当事由」は緩和されていく。
とは言っても,「試用期間」であっても立派な雇用契約だ。中小企業の社長は雇用が契約であることを忘れがちだ。「いやなら出て行け」などという古典的な経営者は少なくなったが,まだまだ「契約」という発想は定着していない。