№1599 競争優位と競争回避
マイケル・ポーターは競争戦略をコスト・リーダーシップ(大量生産など規模を経済を発揮する),差別化,コスト集中,差別化集中の4つに分ける。
差別化と集中とは異なる次元だ。差別化は商品に他にない魅力を作る戦略を言い,集中は特定の顧客セグメントに資源を集中させることで優位に立つ戦略だ。
中小企業の場合,差別化でかつ集中である基本であることが言うまでも無い。
たとえば,「越乃寒梅」というお酒は幻の銘酒と言われて,高い品質とブランド力を持っている。これは高いブランド力を持っている点で競争上優位に立っているとも言えるし,競争しなくてもよい状態にあるとも言える。
中小企業の場合,特定の顧客層を狙って,できるだけ付加価値の高い品質の商品を販売してニッチを獲得しよう言うことになるが,これは競争上の優位に立つという感覚より,競争を回避して収益の機会を拡大していこうという発想の方が向いているように思う事がある。
市場開拓をめぐって競争優位の獲得を戦略とするか,競争回避の戦略とするかはコインの裏表のようなところがあるが,競争優位の獲得を旨とする場合,常にライバルの存在を意識して同じ土俵内で優位を取るということになる。
競争回避は相手の土俵とは別の土俵を探してそこで一人勝ちしようという戦略であるため,根本的に違う。
私が中小企業のオヤジだったら,競争優位はやっぱり競争しなければならないため疲れる気がする。できたら戦わずして儲かるという方がいいでしょうね。