依頼者がプラットフォームを構築するというので調べている。いろいろな著書があるが、2016年10月号ハーバードビジネスレビューの特集は役立つ。その中の論文「プラットフォーム革命」は参考になる。以下はこの論文の要約である。
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プラットフォームの生態系
プラットフォームは必ず「生態系」(ビジネスを構成する関係者のあり様全体を生物の生態系に例えて説明されている)を有する。この生態系の質、いかに多くの価値が生み出されているかによってビジネスの成功が決まる。
プラットフォームにおける財産
プラットフォームには製造者、販売者、アプリ開発者、消費者、コンサルなど様々な方を提供して相互に連携をつくりあげる。こうしてできあがったネットワークこそプラットフォームの最大の財産ということになる。
ネットワーク効果
生産分野では規模の経済が働きやすい。供給サイドでは徹底した効率化によって競争優位を築くことができる。プラットフォームビジネスはより多くの参加者を得ることで、需要と供給がより多く合致するばかりでなく、データが豊富になるため合致する割合が高くなる。大規模なネットワークが独り勝ちするのはこのネットワーク効果が極めて有効に働いていることを意味する。
ネットワークの質とオープンイノベーション
プラットフォームでは参加者相互に連携して新しい価値を創造する。この場合、プラットフォーム外部の知性が参加して別の参加者とともに新しい商品、ビジネス、サービスを作り上げることが生態系の価値を高めていく。イノベーションの場が開かれている、つまりオープンになっていることを意味する。プラットフォームではオープンイノベーションの考えは非常に重要と思われる。
ネットワークのガバナンス
プラットフォーマーは生態系の質を維持することが極めて重要となる。参加者同士のインタラクションを適切に実現させる必要がある。「戦略の重点は、生産と消費の障壁を取り除いて、最大限の価値を創造することに置かれる。」そのためには「アクセス(誰をプラットフォームに参加させるか)と統治(プラットフォームの買い手、つくり手、提供者、さらには競争相手のコントロール)に関して賢明な判断を下さなければならない」。また、関係者が公正に報酬を得られるよう設計する必要もある。
業績指標
論文ではプラットフォームビジネスの業績指標の例としていくつかあげている
① すれ違い
可能な限り速やかにマッチングが図られているか。
② 関与の度合い
プラットフォームにとどまる時間、再訪問、ブラウジングなど
③ マッチングの質
合致しても不満があれば去っていく。グーグルはマッチングの質が高い。
④ 負のネットワークの効果
不適切な参加、参加者を早い時期に排除できていなければならない。