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№2384 プラットフォームビジネス

 私の顧問先がプラットフォームビジネスの展開を計画しているので、そのことを調べている。

 プラットフォームは「サービスのシステム」を供給するビジネスだ。通常、売り手と作り手がパイプラインのように直接つながって取引する。しかし、プラットホームビジネスでは、取引の「場」を提供する。不特定多数の売り手と、不特定多数の買い手が交流して取引を成立させていく。例えが悪いが賭場で寺銭を稼ぐようなものだ。

 

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プラットフォームビジネスのすさまじい威力

 このようなビジネスモデルがいかにすさまじい威力を発揮するかについては、2007年に誕生したiPhonが、2015年には全世界の利益の92%を占める至ったことでも分かる。いまやグーグルやアマゾンなどGAFMAが世界の経済を牽引し、日本国内にも多数のプラットフォームビジネスが展開している。あのトヨタでも自社事業を「モビリティの提供」と定義し直し、プラットフォームビジネス参入を目指している。メルカリとかクックパットの急成長をうらやむ人は多いのではないだろうか。

 

プラットフォームの特徴

 プラットフォームの特徴は「コミュニティとそのメンバーが所有、拠出する部屋、車両、アイデア、情報など」が重要な資産となる。プラットフォーム「外部の作り手と買い手のインタラクション(相互作用)を促すことによって、価値を創造する」ところに特徴がある。インターネット上の不特定多数があらゆる場所で、相互に無限に価値を作り上げていく。このようなモデルが現代社会では競争上優位に作用している。

 

エコシステムが資産

 プラットフォームビジネスの真髄はプラットフォーム関係者のコミュニティあるいは、これを中心に展開する生態系(エコシステム)の質のよさにかかっている。「作り手と買い手のネットワークこそが主な資産なのである」。

 

プラットフォームビジネスの注意事項
 このように考えた場合、新たにプラットフォームビジネスに参入しようと言うときには次の点を注意することになる。

 

① 新しいプラットフォームは何に特化するか
  すでに巨大企業がある中でプラットフォームビジネスを展開するというのだから、巨大企業が届かない場所を見つけ出す必要がある。例えば、クックパットは料理するプロセスに注目して事業を展開した。いまでは、料理に関連する材料、家電など関連サプライチェーンも巻き込んでいる(OiSy)。中小企業から始めるからには特に先鋭化する必要があるように思う。

 

② コミュニティ(エコシステム)の価値を最大化させる
  受け手と送り手の障壁を取り除き、相互作用による価値を最大化させることが必要となる。この時、「アクセス(誰をプラットフォームに参加させるか)と統治(プラットフォーム上での買い手、つくり手、提供者、さらには競争相手のコントロール)について賢明な判断を下さなければならない」。コミュニティの質が高まれば加速度的に生態系は発展するだろうし、質が低下すればたちどころに雨散霧消することだろう。

 

③ 収益のポイントは何か
  基本的に「寺銭」なので、関係者の誰かからお金をもらえばよい。重要なのは「戦略的な収益源」の特定となる。利用手数料としている例が多いし、プラットフォームに関与することによりビジネスの機会を広げることができたとして広告料として対価をとることもあり得る。新しい価値を創造することについてのマネジメント料、コンサル料という形かもしれない。あるいはプラットフォームを通じて得られる情報を売る場合もあるかもしれない。

 

④ 他者との連携、共同
  プラットフォームは常にオープンな存在なのだが、他のプラットフォームを利用して自らを成長させるパラサイト型だってある。自社の実力がなければ、他のプラットフォームを利用して発展させ、さらに自社のプラットフォームに発展させる戦略も可能だ。

 

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