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№1856 企業の挫折と成長

№1856 企業の挫折と成長

 リーマンショックは2008年だった。あれから8年、世の中は大きく変わってしまった。しかし、最近リーマンショックを切り抜けた企業の成長が始まっている。あの時、会社の体制を見直し、社員教育のあり方も見直し、不要なものはどんどん削っていった。

 ある企業は派遣社員を整理し、一部を正社員化していった。正社員とすることで会社の求心力を高めようとしたのだ。
 ある企業は技術職や工場で働く職員を営業に行かせることした。技術系の者が営業力を学習することで技術の質も、営業の質も高まっていった。

 ともかく、企業は挫折から学ばなければならないことだけは確かだ。
 徹底的なダウンサイズを行うことも時には必要だが、この場合、もっとも重要なのは自社はどのような事業で生きていくか、どのような物を売って生きていくかをとことん追求する姿勢を持つことだ。その「核」となる部分をとことん磨き上げることが結局企業を活かすことになる。

 ハーバードビジネスレビュー10月号ではマーケットプレイスの落とし穴という題名の論考が掲載されている。ウェブ社会では一定数のアクセスが確保されるとその後、指数関数的にアクセスが増えていく。マーケットプレイスが急激に成長したかのように見えるのだ。

 しかし、筆者らは警告する。
 成長を加速させたいという誘惑に負けないようにするべきであると。
 つまり、急激な成長を目指す余りに、本来のよさを失い破滅的な競争力の低下を招くことがあるというのだ。ウェッブマーケット上、特定の商品が大量に売れることを重視すると商品の多様性が失われ、ユニークな商品が閉め出される。その結果、マーケットプレイスの魅力は急激に失われていく。

 マーケットプレイスの魅力は売り手、買い手双方が安心してアクセスし、接点を持つことができるところにある。多様な出会いがより多くのアクセスを生む。関係者の持続的なアクセスこそ最大の課題のはずだ。つまり、プラットフォームとして、誰にでも安全で信用が有り、最適な需給バランスが維持される状態が保たれていることが事業の神髄にある。

 急激に成長というものも大切かもしれないが、利益を生み出す仕組みが根本的にどこに生じているのかを、できるだけ正確に定義し得た者が勝利する。 

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